偽陽性・偽陰性はなぜ起こるの?

全国各地で新型コロナウイルス感染症が流行したことで、PCR検査を希望する人が増えています。PCR検査とは新型コロナウイルスの感染の有無を知ることの出来る検査です。しかし、このPCR検査を含む厚生労働省が認可する3つの検査では一定の割合で偽陽性や偽陰性の判定が出ることがあります。

今回は、偽陰性と偽陽性とは何か、なぜ起こってしまうのかを解説します。

目次

  1. 新型コロナウイルス感染症の診断で用いられる3つの検査
  2. 偽陽性とは?
  3. 偽陰性とは?
  4. 偽陽性・偽陰性はなぜおこるの?
  5. まとめ

1.新型コロナウイルス感染症の診断で用いられる3つの検査

新型コロナウイルスの感染拡大により「PCR検査」と呼ばれる検査をよく耳にするようになりました。このPCR検査とは、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略で、ウイルスの遺伝子を専用の薬液で増幅させて検出する検査方法です。鼻や咽頭ぬぐい液または唾液の採取をして、検査時点で新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定します。

このほかにも、感染したことがあるかどうかを知ることができる「抗体検査」、検査したいウイルス抗体を用いて抗原を検出する「抗原検査」があり、PCR検査とともに厚生労働省に認められている検査方法です。

2. 偽陽性とは?

新型コロナウイルスの感染の有無を確認するために多くの人が行う検査がPCR検査です。しかし、PCR検査を含むすべての検査には「偽陽性」が含まれます。この偽陽性とは“本当はウイルスにかかっていないのに陽性だと判定されること”を言います。

新型コロナウイルスのPCR検査は、陽性者を正しく陽性だと判定する確率(感度)は70%程度です。もし100人の感染者がいる場合に、すべての人を陽性だと判定できれば感度は100%となります。新型コロナウイルスのPCR検査の感度は70%のため、検査結果には偽陽性が含まれていることも考慮しなければいけません。

新型コロナウイルス感染症の診断にはPCR検査のほかにも抗原検査や抗体検査がありますが、抗原検査の感度は50%、抗体検査に至っては0~80%の感度とばらつきがあります。抗原検査は判定の難易度が高く、抗体検査は感染初期を判定するのが困難であるため、現時点での感染の有無を早く知るためには、3つの検査のうちPCR検査が最も有用です。

3. 偽陰性とは?

PCR検査を含むすべての検査には偽陽性と同じく「偽陰性」も含まれます。偽陰性とは、“本当はウイルスにかかっているのに陰性だと判定されること”です。新型コロナウイルス感染症のPCR検査では、30%の患者は偽陰性が出ることがわかっています。そのため検査結果で陰性でも、新型コロナウイルスにかかっていないとは言い切れません。

現在では毎日全国各地でPCR検査が実施されていますが、PCR検査をより多くの人に行うとすると、その集団内での罹患率は低下することが予想されます。実際には罹患していないにもかかわらず陽性と判定される人が増加する点には注意しなければいけません。

4. 偽陽性・偽陰性はなぜおこるの?

偽陽性や偽陰性はなぜ起こるのでしょうか?PCR検査の結果は正確ではないのかといえばそうではありません。偽陽性や偽陰性の原因は様々ですが、次のような原因が考えられます。

新型コロナウイルスを検査するために鼻や咽頭ぬぐい液や唾液のなかにウイルスがいない場合には、本来は陽性であるにも関わらず偽陰性になってしまうでしょう。これは、検体を取る場所やタイミングに問題があったと考えられます。また、採取した検体の中に、PCR検査の限界のウイルス量よりも少ない量のウイルスしかいない場合は、精度の高いPCR検査でもウイルスを見つけることができません。

感染したばかりなど日数が経っていない場合にもウイルスが増えていないため偽陰性になる可能性もあります。実際に新型コロナウイルス感染症は、肺の奥の方にウイルス量が多いことがわかっており、痰などの肺の奥の方から得られる検体での検査が望ましいとされているのです。

偽陽性が出る原因としては、検体の採取・取り扱いでの不備や、検査上の不備などで誤った結果が出ることなどが考えられます。そのため複数回の検査の実施や、経験豊富な医療スタッフが判定を行うことが大切です。実際にスマート検査ラボでは、陽性の結果が出た検体に関しては複数回検査を実施し、偽陽性が起こらないような検査体制を構築しています。

このように、PCR検査は、検体のなかにある程度のウイルス量があれば正確に診断することができます。しかし、検体の取り方や採取する場所、感染からの経過日数などでその正確さは変わります。検査キットなどを使用する場合にも注意が必要です。病院での検査と違い、検体を採取からかなりの時間が経過してしまうと正しい判定をすることができません。検査キットを使用する場合は、当日中に返送するのが望ましいでしょう。

5. まとめ

新型コロナウイルス感染症の拡大により、連日全国各地でPCR検査が行われています。厚生労働省が認める3つの検査のうち、有用度の高いPCR検査はその時点での感染の有無を知ることができる検査ですが、陽性者を正しく陽性だと判定する確率は一般的に70%程度と言われています。すべての検査には偽陽性や偽陰性が起こることを理解しましょう。