PCR検査のお金の話~保険適用や医療費控除、経費計上は可能?~
PCR検査は、新型コロナウイルスへの感染の有無を確認するために役立つものの、金銭的な負担が比較的大きいというデメリットがあります。「金銭的・心理的な抑えて検査を受けたい」という思いは、多くの方にとっての本音と言えるでしょう。
そこで今回は、PCR検査で保険適用がされるか、医療費控除ができるかどうか、経費としての計上が可能かについて解説します。
目次
- PCR検査で保険適用になる場合と、ならない場合の違い
- 1-1.保険適用になる場合
- 1-2.保険適用にならない場合
- PCR検査でかかった費用は医療費控除ができる?
- 2-1.医師の判断による検査は、医療費控除の対象となる
- 2-2.自己診断での検査が、医療費控除の対象となるケースもある
- PCR検査は税務上、経費計上ができる?
- 3-1.業務上で必要とされる検査では、福利厚生費として扱われる
- 3-2.給与手当となるケースや、福利厚生費にならないケースも
- 1-1.保険適用になる場合
- 1-2.保険適用にならない場合
- 2-1.医師の判断による検査は、医療費控除の対象となる
- 2-2.自己診断での検査が、医療費控除の対象となるケースもある
- 3-1.業務上で必要とされる検査では、福利厚生費として扱われる
- 3-2.給与手当となるケースや、福利厚生費にならないケースも
1.PCR検査で保険適用になる場合と、ならない場合の違い
多くのケースにおいて新型コロナウイルスへのPCR検査は自費診療となり、1回につき1万8,000円前後の費用がかかります。検査費用は医療機関によって異なり、2万円から3万円ほどかかるケースも少なくありません。しかし2020年3月6日より、厚生労働省よりPCR検査が保険適用の対象になるとの通知が出されました。
保険適用がされるかされないかについては、検査を受ける目的やこちら側の状態によって以下のように変わります。
1-1.保険適用になる場合
PCR検査が保険適用となる場合は、「医師が必要だと判断して行った検査」が対象となります。
・新型コロナウイルスの症状が見られる
・症状が見られない場合には、新型コロナウイルスの感染状態を調べるアプリ『COCOA』により、陽性者との濃厚接触を判断されている
・医師により、陽性者との濃厚接触を判断された
などの条件に当てはまれば、保険適用でPCR検査を受けることが可能です。
この場合のPCR検査は国が行う『行政検査』として扱われ、費用は行政が負担するため、こちら側での窓口負担の必要はありません。それでも初診や再診の費用はかかり、一般的に数千円程度の自己負担が求められます。
1-2.保険適用にならない場合
一方、
・保健所や医療機関で濃厚接触の可能性が見られなかったが、感染の有無を確認したい
・持病がある家族と同居しているため、感染の有無を確認したい
・他県への移動や高齢の家族に会う必要がある
・海外渡航の予定があり、陰性証明書が必要となる
・一度新型コロナウイルスの陽性となり、治療や隔離期間が終了したが、職場復帰のため陰性の結果を待っている
などの場合には、自費診療でPCR検査を受ける形となり、仮に陽性の結果が出ても保険適用の対象にはなりません。
2.PCR検査でかかった費用は医療費控除ができる?
自費診療でPCR検査を受ける際、医療費控除の対象となる場合もあります。医師による診療や治療を目的に支払った費用や、治療や療養に必要な医薬品の購入費用は医療費控除の対象となり、PCR検査においてもそれは同じです。
2-1.医師の判断による検査は、医療費控除の対象となる
医師が必要と判断したうえでPCR検査を受ける場合には、検査は治療目的となることから、医療費控除を受けられます。しかし、実際に費用を負担した場合が条件であるため、公費で負担した部分は医療費控除の対象にはなりません。
2-2.自己診断での検査が、医療費控除の対象となるケースもある
医師によって必要と判断されず、こちら側の都合で感染の有無を確認するためにPCR検査を受けた場合には、基本的には医療費控除の対象外となります。 検査結果で陽性となり、医療機関での治療を受ける場合には、医療費控除の対象となります。陽性の結果が出ることで、PCR検査が治療を前提に行われるものとみなされるためです。なお、検査結果で陰性となった場合には医療費控除の対象にはなりません。
3.PCR検査は税務上、経費計上ができる?
PCR検査の保険適用や医療費控除にはさまざまな条件が必要となりますが、業務上で検査を受けた際に経費計上ができるケースもあります。
3-1.業務上で必要とされる検査では、福利厚生費として扱われる
海外出張や取引先への訪問の際、検査の証明書が求められる場合には、自費診療で受けたPCR検査費用は経費としての計上が可能です。検査の目的は感染の有無や証明書の提示であり、業務上で必要となることが理由です。また、「社員の安全を守るため」との目的で社員全員にPCR検査を受けさせた場合には、福利厚生費とみなすことができます。
3-2.給与手当となるケースや、福利厚生費にならないケースも
一方、一部の従業員や役員だけにPCR検査を受けさせた場合には給与や役員報酬としての扱いとなり、経費としての計上はできません。
まとめ
以上、PCR検査の保険適用、医療費控除、経費計上の条件についてご説明しました。
・医師が必要と判断した場合には、保険適用となる
・保険適用の場合、自費診療でも陽性の結果が出て治療を受けた場合には、医療費控除の対象となる
・業務用で必要となった場合には、検査費の経費計上ができる
今回の記事をまとめると、以上のような答えとなります。今後PCR検査を受ける方や従業員の方への検査を考えている場合には、今回お話しした条件を確認し、万全の状態で検査に臨めるようにしましょう。