PCR検査機関で注意すべき3つのポイント

PCR検査は各検査機関によって、提供する検査の内容や価格、陽性が判明した場合の対応等、大きく異なります。このことを理解した上で利用者は検査機関を選択し、検査を受けることが重要です。
特に、現状、自費検査機関において、陽性者が出た場合に検査機関が保健所に「発生届」を出さずに野放しになっているケースが相次いでいることが問題になっています。
発生届け出がなければ、保健所は陽性者の隔離や接触者の調査が実施できず、感染拡大が進む恐れがあります。自費検査を行う検査機関は、医療機関と連携して届け出まで責任を持って対応することが重要です。
また、現在のところ、PCRの品質管理を保証するルールはなく、専門性の高くない検査機関が検査をしてしまい、きちんとした管理体制がとられていない現状があります。
こういった問題が顕在化し、厚生労働省は利用者が混乱することがないような制度作りを現在開始しています。
(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から各都道府県・保健所への連絡内容)
https://www.mhlw.go.jp/content/000698209.pdf

当検査ラボでは、PCR検査を実施する以上、「きちんと精度や品質が保たれていること」「陽性が判明した場合、行政へ感染症法に基づく届出がされていること」「PCR検査自体が安全で有効な検査かどうか」の3つが感染拡大防止には最も重要だと考えています。PCR検査機関で注意すべき3つのポイントを以下にまとめました。

ポイント① 高精度な検査か、専門性が高い検査体制か

(高精度)

当検査ラボは国立感染症研究所のプロトコルに準拠した唾液PCR検査(RT-qPCR)を行っています。検査機器・試薬ともに日本のバイオ機器メーカーであるタカラバイオ社製を使用しており、安心してご利用いただけます。品質を保つためには、精度管理が重要です。メーカー指定の精度管理を定期的に行っているため、高い精度でRNAウイルスを検出することが可能になっています。

(専門性)

新型コロナウイルスのPCR検査は検査機器の整備や、試薬の調合、感染性のある検体の管理など、専門的な経験と知識を必要とします。当検査ラボでは、PCR検査の経験が豊富な医学部教授、医師、基礎医学研究者が検査を実施し、精度管理を行っています。

ポイント② PCR検査結果が陽性の場合の対応

検査機関によっては、PCR検査で陽性となった場合、医療機関と提携していないがゆえに、きちんと保健所に発生届け出がされず、そのまま放置されることがあります。東京23区の保健所のうち、少なくとも17の区の保健所で自費検査で陽性となったにもかかわらず、発生届け出がなかったケースがあると報告されています。発生届け出がされないことは3つの点で大きな問題があります。それは「感染拡大の可能性」とご本人が「重症化する可能性」、そして「行政への負担増」です。

(感染拡大の可能性)

発生届け出がなければ、保健所は陽性者の隔離や接触者の調査が実施できません。もし、無症状の方で陽性と判定された人であれば、普段通りの生活をする可能性があり、感染拡大が進む恐れがあります。

(重症化する可能性)

新型コロナウイルスでは発症から約1週間〜約10日まではウイルスが増殖している期間となっており、特にこの期間に早期に抗ウイルス薬を投与することで重症化が防げる可能性があります。ただ、発生届け出がされず、本人が医療機関にも受診せずに放置したままにするケースがあります。自覚症状が強く現れないことがよくあるからです。ただ時間の経過とともに、炎症反応期のフェーズに突入してしまい、抗ウイルス薬が無効となり、重症化してしまう恐れがあります。

(行政への負担増)

発生届け出がなければ、保健所が限られた人員体制の中で改めて初めから、陽性者一人ひとりの接触履歴や状況を確認する必要が出てきてしまいます。また、本来の行政検査などの業務にも影響が出る懸念があります。

当検査ラボは医療機関(渡航医学会指定医療機関、経済産業省公認登録医療機関)の検査ラボになります。スマート検査ラボを通じて申し込みをし、PCR検査の結果が陽性となった場合には、当検査ラボの医師が行政へ感染症法に基づく届出を速やかに共有する連携体制が整っています。

ポイント③ 安全で有効なPCR検査か

(安全性)

当検査ラボの新型コロナウイルスのPCR検査は、鼻咽頭ぬぐい液(鼻の奥に細い棒を入れ粘膜をぬぐって採取する検査)ではなく、唾液でのPCR検査です。鼻の奥に入れたりしないので、痛い検査ではありません。鼻咽頭ぬぐい液のPCR検査は鼻への刺激によって、くしゃみや咳が出ることもあり、それに伴い飛沫などが発生して、周囲への感染リスクを伴います。唾液を容器に入れるだけなので、高齢者や0歳のお子様にも安心安全に、簡単に唾液検体を採取することができます。 また、唾液を採取した後、ウイルスの感染性をなくすために不活化保存液(濃度の高い界面活性剤)を入れます。そのため、一度唾液と不活化保存液を混ぜたあとは唾液は感染性を失い、ウイルスに感染することはありません。その結果、常温のまま安全な状態で検体の送付が可能となります。 また、検査ラボに唾液検体を返送する際は何重にも梱包するので、万一、容器の蓋が完全にしまっていなくても唾液が外部へ漏れる心配はありません。当検査ラボのPCR検査キットの使い方はこちら

(有効性)

今まで新型コロナウイルスのPCR検査は、感度(陽性者を正しく陽性と判定する確率)が70%程度と考えられており、唾液によるPCR検査の感度はよく分かっていませんでした。2020年9月末、北海道大学大学院医学研究院の研究グループは唾液によるPCR検査の精度研究を行い、唾液によるPCR検査の感度は、従来言われていた70%を遥かに上回る約90%であり、特異度(陰性者を正しく陰性と判定する確率)も極めて高く、信頼できる検査であることを明らかにしました。※1
また、これまでの研究結果から新型コロナウイルス感染症の発症から9日以内であれば唾液によるPCR検査は鼻咽頭ぬぐい液での検査と同等の検出率で有用であり、厚生労働省も唾液によるPCR検査を認めています。※2
唾液採取によるPCR検査は周囲への感染リスクがないだけでなく、感度・特異度ともに高く、有効な検査手法であることが分かっています。

※1)北海道大学大学病院による唾液PCR検査のプレスリリース
https://www.huhp.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2020/09/release_20200928.pdf

※2)唾液を用いたPCR検査の導入について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11636.html

保存液とは?

そもそも保存液は、採取した唾液検体が時間の経過とともに壊れてしまうことで、本当は陽性なのに、検査結果では陰性となってしまう(偽陰性)ことを防ぐために必要になります。 また、保存液と一口に言っても、大きく分けて「保存液」と「不活化保存液」の2種類があります。

(保存液)

保存液は人の血液に似た成分で作られていて、ウイルスの遺伝情報が壊れないように保護するものです。これを利用すると、ウイルスを破壊しないで保管しておくことができます。検査の正確性をあげる意味では有効ですが、これだけでは輸送や移動にリスクが伴い、一般的な方法で発送したりすることは禁じられています。

(不活化保存液)

不活化保存液はウイルスが細胞に感染するときに使うスパイクタンパク質を破壊し感染性をなくします。ウイルスの遺伝子を壊すタンパク質も壊すので検査を安全にかつ正確に行うことができます。ただし、PCR検査で用いる試薬に含まれているタンパク質も破壊してしまうので、直接検査に利用できず、手間とコストをかけて検査直前に遺伝子を精製する必要があります。 遺伝子の精製作業が発生してしまい、技術的な難易度とコストがかなり上がってしまうため、多くの検査機関では不活化保存液ではなく、ただの保存液を使っていますが、当検査ラボは安全性と正確性を高めるために不活化保存液を使用しています。